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by 野口恵

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1.
少女の瞳 04:37
爪弾いた糸が揺らしてくれるの 海を 空を 花を 夜汽車を こうして歌っていたかったのは 私が知る歌が街になかったから 私を連れ出せるのは古いランプだけ 少女の影は いつも踊っているばかり 朝と夜だけがいつも私の間にいたの 爪弾いた糸が揺らしてくれるの 友を 靴を 声を 朝焼けを  こうして歌っていたかったのは 私の見る夢が部屋になかったから 私を連れ出せるのは 古いランプだけ 少女の影は いつも踊っているばかり 朝と夜だけがいつも私の間にいたの 朝と夜だけをいつも見落としてしまうの
2.
03:49
人の一生に喩えるには やや平坦な帰り道 嘘を吐けば夜が長引く 本当を言えば朝が刺さる 肩の力が頼りなく抜けた 背中を揺らす無秩序な北風 雲の流れは昨日より速く 引き摺る体は 脆い夢に騙されたまま 誰に語るわけでもなく 誰を騙るわけでもなく 前を向けば朝が近付く 後ろを見れば夜が終わる 果敢ないだけの 目まぐるしい日々 物足りないだけの 恙無い夜明け 掴み損ねた 太陽の光 かけ違え続けた あの人との会話 呼ばれるともなく 空を仰いでは 一人で立てば 一人だと気付く 足取りは重くとも 歩みは止めずに いつしか途切れる この路の最果てまで
3.
生活 03:26
裏漉しされた雨風が 乾きそびれたタオルを揺らす 明日を待つには長すぎる けれどいつしか明日は来る 夜更けにふと思い出したように 懐かしい夢を見て目が覚めた 忘れかけていたレコードを 走った針が歩みを止める このメロディはいつの日か その背中を押すでしょう 生活はふと当たり前のことを 嘘のなく限りあるものにする たった一人で歩きだす私のことを 君が見送ってくれている
4.
02:36
春 憧れは密かに芽吹く 朧気な光のなか 姿は見せずとも 疑いを知らぬまま 夏 眩しさに気後れしていた いたいけな心はただ 取り残されていた 短い夜の夢 秋 目が覚めた北風のころ 美しい月明かりも 仮初めの夜明かし 宵は日ごとに長く 冬 忘れじの月日は今も 心無い言葉にさえ 動じることはなく 空へ

credits

released September 5, 2018

vocal,acoustic guitar:野口恵
electric guitar:車田康文
recorded,mixed:森田茉梨絵

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野口恵 Tokyo, Japan

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